親業とは
米国の臨床心理学者トマス・ゴードン博士(1918-2002)が開発したコミュニケーションプログラムです。
原題は「Parent Effectiveness Training(親としての役割を効果的に果たすための訓練)」。
カウンセリング、学習・発達心理学、教育学など、いわゆる行動科学の研究成果を基礎にしています。
親としての役割、つまり<親業>を果たすことは、「一人の人間を生み、養い、社会的に一人前になるまで育てる」仕事にたずさわることである。
これほど困難で、能力や努力を必要とする仕事がほかにあるだろうか。しかも、そのための特別な訓練を受けた親が何人いるだろう。親業者のためにどんな訓練プログラムがあるというのか。親業を効果的に果たすのに必要な知識や技能を、いったいどこで手に入れたらよいのだろう。
【抜粋;著書『親業』(大和書房)】
多くの親は「親の役割」をはたすために、自分の親から伝えられた経験と、さまざまな情報・知識に揺れながら試行錯誤を繰り返しているのではないでしょうか。
この暗闇に手さぐりしている親達に、ひとつの方向が示されるようになりました。
−それがコミュニケーション訓練−親業訓練講座です。
1979年に日本ではじめて親業訓練講座が開かれてから、親業訓練の理念は親子間だけではなく、すべての人間関係に共通するということに基づき、現在では「自己実現のための人間関係講座」「教師学講座」「看護ふれあい学講座」「ユース・コミュニケーション講座」が開かれています。
親業の3つの柱
子どもは自立心があり、協調的で、自分で自分の行動に責任のとれる人間になるのが好ましく また、親も子も、ひとりひとり違った人格を持つひとりの人間として接していく
というゴードン博士の考えがあります。聞くこと
子どもは困っていたり悩んでいたりするときにいろいろな危険信号を出しています。
ただ親がその信号をキャッチして 子どもの心を開かせ、本当の気持ちを話すことができるようになる親の聞き方を身につけます。
ありのままの自然な話し合いが行われるので、日常生活の中で、しっかりした心の架け橋をきずくことができて、子どもにとって安心で安全な居場所として感じることができるようになります。
反抗期の息子が、本当の気持ちを話してくれて嬉しかったです。
子どもがなぜこんなことをしているのか。その裏にある困ったことや不安な気持ちに寄り添えるようになりました。
聞き方を変えるだけで子どもががすらすら気持ちや考えを言えるようになり言葉のキャッチボールが目に見えてとれました。
親が子どもの本音がわかるので、根本の問題は解決しなくても、子どもが早く立ち直りました。
今までいかに、子どもが話をやめたくなる接し方のオンパレードだったかを痛感しました。
悩みを言語化し話すことで、私が何も言わなくても、子ども自身で気づきを得られたようです。
子ども自身が考えて、言葉が出せるように、子どもを信じて待てるようになりました。
話すこと
悲しいや悔しいなど、親の感情を口に出していいんだと初めてわかりました。
やめて!早くして!などと強く言いがちだったのを、私の気持ちを率直に伝えることを意識をしたら、子どもが素直に行動を変えるようになりました。行動を非難がましくなく言えたのも効果が出たのかもしれません
疲れていているせいか、毎回嫌がる娘を無理やりお風呂の入れるのに私も疲れていました。
わたしをメッセージと能動的な聞き方をしたことで、ママと一緒に入る〜とすんなり解決が出来て、お風呂あがりにも楽しい会話が続いてとても嬉しかったです。
息子は発達障害があり、こちらの気持ちを察することが難しいことがあります。ある時、わたし メッセージで思いを伝えたら、いつも反発していた息子が、「わかりました。」と問題行動をやめてくれました。
きちんとメッセージを伝えることができたから、自然と理解してくれたのだと思います。
私が自己開示をしたら、息子も不満だったことを話し始めました。
自己開示のあとに子どもの話をしっかり聞いたことで、本音を話せたのだと思います。
今までつくづく上から言い聞かせて、子どもたちは言いたいことが言えなかったのだと実感して反省しました。
対立を解くこと
子どもはそれなりに独立した欲求をもっています。
そこで、親がこうしたい と思うことと、子どもがこうしたいと考えることが対立することがよくあります。
こうした場合、親が一方的に自分の意見を押しつけるのではなく、また子どもの欲求にいつも応じてしまうのでもなく、対立している問題を親も子も納得できるように、子どもの意見も尊重しながら親子で話しあい、解決策を見つけていく方法「勝負なし法」を学びます。
子どもが解決策を出す時に、思った以上に解決策が出てきました。決めた解決策を忘れている時もありますが、私が言わなくても「忘れた」と自分で気が付いてしているので、やらされている感が今までより無くできているように思います。
自分の意見を受け入れてもらえた時の息子の表情がイキイキしたので驚きました。
「明日から頑張れそう!」「勇気がでたよ」という言葉が息子の口から出てくるなんて思わなかったです。
決定した解決策は私が出した案でしたが、本人が納得していたので、自分で約束を守りゲームを終了していました。
終了のタイミングも自ら考え終わりにしたので、最初の泣きそうな顔とは全然違っていて、満足しているような様子で、その後笑顔で寝ることができました。
翌日も約束の時間を自ら守っています。